おおさか識字・日本語センター

【報告】第3回識字・日本語学習研究集会


2017年1月22日(日)大阪教育大学天王寺キャンパスの西館ホールで、第3回識字・日本語学習研究集会を開催した。

本研究集会は、大阪教育大学教職教育研究センターと識字・日本語学習研究集会実行委員会が主催し、識字・日本語連絡会とおおさか識字・日本語センターが共催している。
全体会は、本学の栗林澄夫学長の挨拶(代読)に始まり、森実実行委員長の挨拶で開会した。

  

全体会のメインは、「社会的困難を生きる若者の学習支援を考える」をテーマとしたパネルディスカッションで、京都女子大学発達教育学部の岩槻知也さんをコーディネーターに、福岡大学人文学部の添田祥史さん、日之出よみかき教室の西田純子さんからの報告のあと、会場との質疑応答が行われた。
岩槻さんは、識字教育をテーマに研究を進められているが、そのプロセスの中で「よみかき茶屋」と出会う。ボランティアとして学ばせてもらうなかで、多様な学習者から学んだという。若者の学習支援ということ。外国にルーツをもつ若い人だけでなく、日本で育った日本の若者が識字学級に来るようになったり、一度調査しないといけないと思うようになり、部落解放・人権研究所の調査の一環で、4年くらいかけて調査を行った。若い人が読み書きの問題で困っていることを最近特に感じる。今日は若者の支援に携わってこられたお二人の方からお話を伺いたいと思と、このパネルディスカッションの趣旨を説明した。

 

福岡大学人文学部の添田祥史さんからは、北海道教育大学時代に釧路自主夜間中学「くるかい」の設立準備に携わり、初代事務局長を務めた経験から、若者の学び直し支援の課題と展望を考える報告があった。

純くん(仮名)は、小学校3年生から不登校。無表情で、声をかけても一言返事があるかどうかわからなかった。しかし、「くるかい」に通うようになって、漢字が書けるようになり、登山にチャレンジしたり、店員さんに話かけることができるようになっていく。そして、通信制高校に進学したり、アルバイトも開始するようになる。
「実社会と乖離した生活を長らく送ってきた若者にとって、学ぶ意味とは、所与のものではない。互いのかけがえのなさを体感しあう関係を基盤に、当人をとりまく支援者や仲間とともに創りだすもの」という添田さんのまとめが印象的だった。

日之出よみかき教室の西田純子さんも、不登校の子を受け入れた一年のあゆみを話された。毎週木曜日、手探りでMくんの教材を作り、ノートでの学習をはじめる。カレーつくりが得意という彼に材料から用意してもらい、12人分のカレーを作ってもらう。その経験を鉛筆作文に書いたり、よみかきこうりゅうかいに参加し、発表したりするなかで、自分の生い立ちをぽつんぽつんと、しゃべり始めるようになる。「お母ちゃんシングルマザーでがんばってくれたから、今のぼくらがあるんやな」と。

年賀状なんて書いたこともないし、もらったこともないというMくん。ボランティアの人へ5枚、ペンで書くので、緊張するのだけれども、書きあげることができ、さらに2枚追加。郵便局にも行ったことがないという彼だったが、7枚の返事の年賀状を持って年明けの教室にうれしそうにやってきた。西田さんの「Mくんの今後の展望が開けたわけではないが、彼のひょうきんさが出せるような教室になったかなと思います」というまとめの言葉が会場に響いた。

二人の報告のあと、会場との質疑応答があり、岩槻さんのまとめでパネルディスカッションを終了した。参加者から、「心温まる報告を聞くことができ、現在取り組んでいる識字・日本語の活動への思いを新たにしました」という声をいただくことができた。

(報告:岡田耕治) 

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